まだ聞けていません。
全部でふたつ、
まっくろな夜を、
森で過ごしたくまちゃんのおはなし。
森には、様々な生きものの痕跡がありました。
もしかしたら、どこか遠くからやってきて、
きちんとベッドで、ひとり寝ているくまちゃんの耳元で、
四つ足の何かがそっと話しかけたりとか、
あったかもしれないのに。
森には、いろんな音もありました。
ただただ強い風が吹く音とか、
高いところから葉っぱの間を抜けて届く雨の音とか。
少し荒々しい、ウグイスのなき声や、
四つ足の何かが、
森じゅうに敷き詰められたふかふかな笹の上を踏みしだく音なんかも、きっと。
何が聞こえていたかは、
絶対に知りたいところ。
でも。
くまちゃんは今、とても疲れているみたいで、
毎日、ゴロンとねころがることしかしていません。
いつかご機嫌のいい時にでも、
少しづつ、きいてみようと思います。
おつかれさまでした、くまちゃん。
『1回とじたのにまた割くなんてさッ!ほんっとひどいよ!きらいだよ、ゆりちゃんなんてさッ!』